A.現在九州大学は、韓国研究センターを設置するなど、世界的な韓国研究の拠点として脚光を浴びています。そのなかでも本研究室は、国立大学における最初の朝鮮史専門講座として、また九大における韓国研究の老舗として、1974年以来の伝統をほこっています。そして関係資料を我が国屈指の規模で架蔵するという恵まれた学習環境のもと、多くの先輩がすぐれた研究業績をあげ、プロの研究者として各地の大学で活躍しています。研究室の雰囲気はとてもアットホームです。学生数がそれほど多くないので、いつでも研究室にきて勉強したり、お茶を飲んだりできます。わからないことがあったらすぐに先輩に質問したり、色々な話を聞けたりするのも朝鮮史ならではです。
A.現在私たちが生活している福岡から韓国第二の都市である釜山まで、海を隔てて約25Okm程の距離です。このように近接している日本列島と朝鮮半島との間では、古くから人や文化の交流が脈々と営まれてきました。途中豊臣秀吉の朝鮮侵略や韓国併合といった不幸な出来事に見舞われながらも、現在は日本と韓国との間で未来志向的関係が模索されています。2OO2年には日韓共催でワールドカップ・サッカー大会が開かれ、さらには韓流ブームに火がつき、今後、双方の結びつきは更に強まってゆくものと考えられます。
このような状況の中、私たちには朝鮮半島で生活している人々やそこで養われた歴史・文化などについて、より一層の理解が求められることになりました。しかし私たちの意識の中で、これらのことはまだそれほどの位置を占めてはいません。日本社会において韓国・朝鮮人に対する偏見が一部残されていることも否定できません。こうした無知と無理解は、双方が理解を深め合うのに障壁となるものです。国際化がしきりに叫ばれている今日において、こうした現状からいち早く脱却することが私たちに求められているわけです。そのうえ、日本との関係を抜きにしても、朝鮮半島の社会と文化は、それ自体が深みと知的興奮に満ちた、やり出すとハマってしまう学術研究の対象です。そして、日本史や中国史の立場を中心にえがかれてきた東アジア史イメージをぬりかえる可能性に満ちた学問分野です。
朝鮮史学研究室は1974年に日本の国立大学で唯一の朝鮮史学に関する独立研究室として開設されました。ここでは演習・講読・講義等を通じて、朝鮮半島の歴史を体系的に学ぶことができます。演習では史料の正しい読解法、基本文献の利用法等、歴史研究の基礎を身につけることができます。講読では学術文献を通じて、論文読解能力と朝鮮語能力、および朝鮮史学の基礎知識や視点を養うことができます。また、朝鮮関係では我が国屈指の規模で文献史料や詩文が揃っており、こうした恵まれた研究環境の下で数多くの先輩がすぐれた研究業績を挙げ、研究者として各大学で活躍しているのです。

1979年当時の研究室
A.毎年12月に九州史学会という学会が九州大学で開かれます。その朝鮮学部会には学部生も参加し、国内外の研究者の発表を聞き、最新の研究成果やアカデミズムを肌で感じることができます。また朝鮮学研究会を組織して、『年報朝鮮学』という学術誌を発行していますが、さらに毎月1回懇話会(研究発表会)を開き、九大内部や他大学の若手研究者や学生が所属学科や専門の垣根をこえて交流する場としています。さらに西日本にある朝鮮の文物を探訪する「踏査会」を行い、現地調査や他大学の学生との交流を楽しんできましたが、近年では韓国の史蹟や学会を訪ねる機会も増えました。また教員を世話人とする勉強会として、「櫟翁稗説を精読する会」を定期的に行っています。このほかにも新入生歓迎会や卒業・修了生歓送会、学期終了時の打ち上げ(韓国語で「終講パーティー」)など、定期・不定期のお楽しみが目白押しです。

地方踏査のひとこま
A.九大文学部の一年生は、1月末に進学希望届けを提出し、二年生の前期から研究室に配属されます。二年生の前期の間は六本松地区で履修するため、実質的に研究室で勉強するのは後期からになります。進学の際に求められるのは、熱意と好奇心、これだけです。一年生のとき朝鮮語を習わなかったから、朝鮮史研究室に進学しても良いのかどうか悩む方もいますが、すぐに読み書きできるようになるので、まったく心配ありません。実際、卒業生の中には、一年生のころスペイン語やドイツ語を習っていた学生もいます。
大学院には、修士課程と博士課程が設けられており、より専門的な教育を受けることができます。入学試験は、毎年、秋・冬に行われます。詳細は九大文学部のホームページをご覧下さい。
その他、進学・入学に関する疑問・質問は、
メール
でお気軽にお尋ね下さい。
A.演習では漢文などで書かれた史料(歴史研究の材料となる昔の人が書き残した文献)を読みます。持ち回りで担当者を決め、担当者は割り当てられた部分の史料を読み、そこに現れた事件・事象を解釈して発表します。そして、担当者の発表内容を全員で検討し、的確な史料解釈を目指します。演習は史料の読み方、史料解釈の仕方、基本となる文献の利用方法など、歴史研究の基礎スキルを身につける場といえるでしょう。はじめのうちは大変だと思いますが、わからないところは先輩に聞いたりしながら、しっかり基礎固めをしましょう。

『状啓謄録』、『儒胥必知』
A.講読では日本語・朝鮮語・英語などで書かれた学術文献を読みます。演習と同様、持ち回りで担当者を決め、担当者は割り当てられた文献の内容をまとめ、外国語文献の場合は和訳をして、発表します。講読は朝鮮史を学ぶ上で必要な学術論文の読解力をみがき、外国語―とりわけ朝鮮語の能力を身につけ、さらには良質の文章を読むことで朝鮮史研究の基礎知識や視点を涵養する場といえるでしよう。

『太上感応篇図説』巻之五、婦人善報
A.マイナーな研究室ですが、卒業生の就職は結構順調です。最近では、韓国語を使えるという利点から、語学を活かせる職場に就くことが多い傾向にあります。ここ数年の進路状況は、以下の通りです。
大学図書館(琉球大学) 1名
博物館(国立歴史民俗博物館) 1名
新聞社(西日本新聞) 1名
民間企業 3名
大学院進学 2名
…というわけで、要するに朝鮮史学研究室は九大ならではの珍しい研究室で、実力・文献所蔵量も全国屈指!せっかく九大に入ったからには朝鮮史やらにゃ損ですよ!では、具体的に朝鮮史ではどのような研究ができるかというと…、
基本 … 朝鮮半島 or 韓国・朝鮮人に関係あることなら何でも
なのです。
つまり、歴史に限らず、文化・言語・文学・社会・経済・法律…、なんでもOK!という、「地域研究」を志すとっても挑戦的(だじゃれじゃない)な研究室だったりします。実際、卒業生の中に近代文学の研究者もいれば、過去および現在の研究室の教員には朝鮮語学の研究者も含まれています。また朝鮮史学研究室が母体の学会の名前は「朝鮮学研究会」、学会誌は『年報朝鮮学』であって、韓国・朝鮮に関心のある人すべてに門戸は幅広く開かれています。メインの歴史分野でも特に時代・地域に関する制約はありません。
「朝鮮史と言われてもイメージ湧かない」という人のために、各時代の特徴を記すと…、
○三国時代(~676) ![]()
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高句麗・百済・新羅三国の興亡は、あたかも三国志の世界を彷彿とさせる。広開土王、乙支文徳、金春秋…と、ヒーローは数えればきりがない。
○新羅時代(676~935)
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絢爛豪華な王朝文化、仏教文化が華開く。石窟庵にある石仏の端正な姿にはほれぼれとする人もいるのでは?
○高麗(918~1392)
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契丹・蒙古と、相次ぐ侵略に苦しめられながらも、八万大蔵経や金属活字等を生み出した。元寇で博多に来襲したのは、実は高麗の人が多かった。
○朝鮮王朝[李氏朝鮮](1392~1910)
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ハングルの創製、族譜…といった現代に通じる儒教的文化が完成したのはこの時期。豊臣秀吉によって戦火に包まれるも李舜臣等が活躍。
○近代…朝鮮王朝末期(1863~1910)
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迫り来る外圧(日中露)のなか、国の近代化を目指し、激論を交わし、武器を取る男達。李朝末期には決して幕末に引けを取らない熱いドラマがある。
○近代…日本植民地期(1910~1945)
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日本の支配とは何だったのか? 皇国臣民化政策、30年代工業化、3・1運動等、日本史の一部としても省みなければならないテーマが豊富。
○現代…韓国+北朝鮮(1945~)
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冷戦と南北分断の悲劇。朝鮮戦争。日韓国交回復。韓国の経済発展。秘密のベールに包まれた北朝鮮。現代日本に生きる我々にもつながる隣国の現代史。
という感じです。「これだけじゃわかんない。もっと知りたい。」という人は、直接研究室に遊びに来てくれれば大歓迎!
「朝鮮史を学ぶことは、われわれの足元を見つめ直す作業である」



